症例10解説

症例:30代・男性

臨床所見:3年前に直腸癌の既往あり

採取部位:肺捺印

診断:直腸癌の転移

解答:④ SATB2

細胞所見

背景に壊死様物質を伴う中に、異型細胞の集塊が認められる。

異型細胞は円柱状で柵状配列を示し、核クロマチンが粗顆粒状に増量していることより、直腸癌の転移を最も考える。

今回、直腸原発の腺癌に陽性となる免疫染色の抗体を選択してもらう問題になっており、④のSATB2が正解である。

CDX2も有用な抗体として知られていると思うが、肺由来の腺癌にも陽性となる場合があるため、判定には注意が必要となることを知っておいていただきたい。

参考に、①Cytokeratin7は肺原発腺癌で陽性、直腸癌原発の場合は陰性となり、②p40は扁平上皮癌、③GCDFP15は乳癌、⑤HEP-1は肝細胞癌との鑑別に利用される抗体である。




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