症例2解説

症例:80代・女性

臨床所見:不正出血

採取部位:子宮体部擦過

解答:③ 小細胞神経内分泌癌(小細胞癌)


細胞所見

核は類円形或いは紡錘形で、N/C比が大きな異型細胞が孤立あるいは結合性で見られます。上皮性結合が見られます。クロマチンの増量を認め、顆粒状に見え、核縁は薄く、核配列も不規則に認めます。

以上の所見より神経内分泌腫瘍を疑い、小細胞神経内分泌癌(小細胞癌)と判定した。

鑑別に上がる症例は、類内膜癌・G2~G3、悪性リンパ腫などがあります。悪性リンパ腫との鑑別は、上皮性結合を示しているので、悪性リンパ腫は否定出来るかと思います。一番問題になるのは、類内膜癌・G2~G3との鑑別と考えます。類内膜癌は、腺癌です。腺癌の特徴を考えると比較的はっきりした核小体を認める事が多い、核縁はしっかりとしておりスケッチをすると「線で描けるイメージである」と思います。それに対して、小細胞癌は、核縁は薄く目立たず、スケッチをすると「ぼやけたイメージ」になるかと思います。

子宮体部の小細胞癌発生頻度は0.3%程度と言われている稀症例です。


病理所見

充実性増殖をしめす異型細胞のシート状増殖像をみます(Photo1)。核の腫大、核の大小不同、核分裂像の増加を認め、異型核分裂像をみます。明らかな角化、腺管形成等の分化傾向を確認できません(Photo2)。免疫染色ではCK AE1/3陽性、CK7一部陽性、p63陰性、CK5/6ごく一部陽性、CD10陰性で、腺上皮由来の可能性のある染色性でした。エストロゲンレセプター陰性ですが、ビメンチン一部陽性でした。クロモグラニン陰性ですが、シナプトフィジンは陽性で神経内分泌系への分化または由来と考えます。さらに、p53は陽性でした。

病理診断は、小細胞神経内分泌癌(小細胞癌)でした。


 Photo1


 Photo2



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