症例4解説

症例:50代・女性

臨床所見:腹水貯留

採取部位:腫瘍捺印

解答:③ 明細胞癌

細胞所見

基底膜様物質を取り囲むように腫瘍細胞が並列していることが確認できる。

比較的細胞質は豊富で、グリコーゲンを有するため細胞質は淡明に見られることが多く、核小体が著明なことも特徴の一つとなる。また、Giemsa染色にて、基底膜様物質はメタクロマジーを呈する。

卵巣明細胞癌における基底膜様物質は、捺印標本や腫瘍内容物で認められることが多いため、Giemsa標本または、もしもの場合に染色できるように乾燥標本を作製しておくと、判定の際の一助となることがあるのでおすすめする。

また、今回の症例では見られなかったが、Giemsa染色において、卵巣明細胞癌等グリコーゲンを有する腫瘍で特に裸核状になった場合に、背景に流出したグリコーゲンが縞模様で見えるTigroid appearanceと呼ばれる所見を観察できる場合もあることも併せて知っておいていただきたい。




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