症例9解説 症例:30代・男性 臨床所見:CTにて骨破壊像 採取部位:頭蓋骨腫瘤穿刺 解答:③ 脊索種 細胞所見 ヘマトキシリン好性の粘液を背景に、単あるいは多空砲状の豊富な細胞質を有する担空胞細胞(physaliphorous cell)が索状、鎖状、胞巣状の集簇性に出現する。核は円形で核クロマチンは細顆粒状、小型の核小体がみられる。
全悪性骨腫瘍の1~4%とされ、40~60歳の男性に好発し、30 歳以下には少ない。仙骨、蝶形骨、後頭骨、斜台等正中線上の骨に発生する。肉眼像は柔らかく灰白色、粘液様、分葉状である。組織学的には線維性隔壁に隔てられた分葉状の増生がみられ(Photo.1)、Myxoidな間質内を背景とした円形核を有するいわゆるあぶく状(physaliphorous)の胞体内に空胞を有する細胞が索状・鎖状・シート状配列を呈する(Photo.2)。軟骨性腫瘍との鑑別が問題となり、免疫染色で脊索腫はKeratin(AE1/3,CAM5.2),EMAが陽性を示すほか、脊索の発生に関わる転写因子であるBrachyuryが陽性(Photo.3)、D2-40は陰性。軟骨肉腫ではD2-40陽性,Keratin(AE1/3,CAM5.2),EMAは陰性を示す。
線維性隔壁に隔てられた分葉状の増生
Myxoidな間質内を背景とした円形核を有するいわゆるあぶく状細胞の索状・鎖状・シート状配列
Brachyuryの免疫染色 核に陽性を示す
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